【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


イケメンだった。


本当に、イケメンだった。


なんで、と思うくらいの奇跡の産物。


『千歳と仲良くしていただき、ありがとうございます。澪さん』


優しげな表情。

千歳とはまた違う、雰囲気。


『いいえ!』


7歳上のお兄さん。


正直、伝わらなくて良かった。


好きだったけど、彼は”花嫁“を探しにここに来たのだ。


私みたいな子供が、邪魔をしてはいけないと思った。


千歳が聞かせてくれていた、千歳の大切な家族の話。

幼馴染みの話。


思えば、そのすべてにお兄ちゃんであった、彼がいた。


でも、これは結ばれないから……いつも、顔に感情が出やすい私は、感情を隠すのに必死で。


『澪はいつも、私の前では不貞腐れてますね。私、何か、してしまったでしょうか?』


そう言われたとき、全否定したのが、ダメだったのか。


彼に私の気持ちは、バレバレで。


その笑顔ですらも、私の心を奪ってく。


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