【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
嫌うことで、母親を、和子を許さないと思い込むことで、相馬は自分を保っていたんだ。
そして、一年に一度、祝われるはずの自分の誕生日を憎むことで、その精神を保ち続けた。
けど、数年前から、そんなことをしなくてもよくなった。
水樹や氷月は幼い頃にすでに、婚約者と呼ぶような相手がいた。
京子もなんだかんだ言って、自分を愛してくれる人を見つけていた。
総一郎は家から離れ、闇から遠ざかっていた。
一番、呑み込まれやすいのは、親の愛すら知らない相馬なのに、一番、相馬は家を支えるために追い詰められていた。
よく、沙耶さんと出逢うまでに壊れなかったと誉めてやりたい。
和子は親の愛を十分に受けた上で、プレッシャーに負け、壊れて、死んだ。
相馬は親の愛を受けずに、プレッシャーを受け止めて、人の悲しみや憎しみも代わりに受け止めた上で、人に優しくする人間だった。
自分の不安なんて押し殺して、笑う息子。
そんな息子の強がりを見抜いて、共犯者になってくれた、沙耶さん。
幸せになってほしい。
望めることではなくても、幸せになってほしい。
これ以上、相馬から奪わないでほしい。
なのに、神様は意地悪だ。
壊れかけ、期待しないことで自分を保った相馬から、そんな相馬を抱き締めてくれた、唯一、相馬を支えることができる、相馬の愛する人を奪うんだ。
“運命”、それだけで。