【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「沙耶、生きろ」


母親に拒絶され、辛い思いをしてもなお、自分を心配してくれる人に『大丈夫だよ』と笑い続けた、昔から強かった相馬でも、今度こそはダメだ。


絶対に、壊れる。


絶対に、この世界を、運命を憎む。


そうなったら、最後。


家の闇に呑み込まれるんだ。


「点滴をはずして!」


看護師長と思われる人が、声を張り上げる。


沙耶さんは生きているけど、意識がなく。


それなのに、呼吸困難で苦しんでいる。


「ぅ……はぁ、うぅ……」


自分の首元をかきむしり、息をしようと試みるその姿は、生に執着する人間で。


相馬はそんな沙耶さんを抱き締め、頭を撫で続けた。


「大丈夫だよ」


安心させるように、抱き締めるその姿。


端から見れば、とても美しい光景。


だが、相馬の体は、尋常ではないくらいに震えていた。


喪うことを、恐れる。


当たり前のことなのに。


素直に息子が『怖い』と震え嘆くその姿は、俺の心を痛ませた。


その時。

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