【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「お帰り、直樹」
家に帰ると、妻が迎えてくれた。
「優翠(ゆうき)……」
「ふふっ、はいはい。お疲れ様」
抱き締めると、背中を撫でられる。
優翠のくせみたいなもの。
「沙耶ちゃん、大丈夫そう?」
「うん……今、状態は安定しているけど……心配だから、すぐに病院に戻るよ。ごめんね、そばにいてあげられなくて」
「ふふ、平気よ。……お疲れ様。無理はしないでね」
頭を撫でられる。
本当、優翠は優しい。
「あなたは、お医者様なんだから。多くの人を、自分の手で救うんでしょう?昔からの夢だもんね。頑張れ!」
僕は身を屈め、可愛い妻にキスをした。
「ありがとう」
「……っ、ばか……」
結婚して、20年近く経つのに。
まだ、彼女の反応は新鮮で。
「好きだよ、優翠。愛してる」
「……ぅ、っ、ぁ……」
「ん?」
「……っ、今日、どうしたの?は、恥ずかしいんだけど……」
まっすぐ伝えると、彼女は俺を見上げた。
恥ずかしすぎて、前半が言葉にならないのは、いつものことで。
「思っていることを、そのまま伝えただけだよ」
愛してる。
その一言がどんなに重いからと、
“普通”の夫婦間で使われなかったとしても。
僕たちは、使わなければならない。
妻は、僕達は。
ずっと、一緒にいられる可能性は、一般人よりはるかに低いのだから。