【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「お帰り、直樹」


家に帰ると、妻が迎えてくれた。


「優翠(ゆうき)……」


「ふふっ、はいはい。お疲れ様」


抱き締めると、背中を撫でられる。


優翠のくせみたいなもの。


「沙耶ちゃん、大丈夫そう?」


「うん……今、状態は安定しているけど……心配だから、すぐに病院に戻るよ。ごめんね、そばにいてあげられなくて」


「ふふ、平気よ。……お疲れ様。無理はしないでね」


頭を撫でられる。


本当、優翠は優しい。


「あなたは、お医者様なんだから。多くの人を、自分の手で救うんでしょう?昔からの夢だもんね。頑張れ!」


僕は身を屈め、可愛い妻にキスをした。


「ありがとう」


「……っ、ばか……」


結婚して、20年近く経つのに。


まだ、彼女の反応は新鮮で。


「好きだよ、優翠。愛してる」


「……ぅ、っ、ぁ……」


「ん?」


「……っ、今日、どうしたの?は、恥ずかしいんだけど……」


まっすぐ伝えると、彼女は俺を見上げた。


恥ずかしすぎて、前半が言葉にならないのは、いつものことで。


「思っていることを、そのまま伝えただけだよ」


愛してる。


その一言がどんなに重いからと、


“普通”の夫婦間で使われなかったとしても。


僕たちは、使わなければならない。


妻は、僕達は。


ずっと、一緒にいられる可能性は、一般人よりはるかに低いのだから。


< 566 / 759 >

この作品をシェア

pagetop