【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
◆
◇
◆
病室に駆け込むと、相馬が沙耶を抱き締めていた。
尋常ではないくらいに、震えていた。
今日は、5月8日。
相馬が生まれた日であり、
和子さんが自殺した日である、今日。
この世で、最愛なる沙耶を喪うことを、相馬は怯えている。
「相馬」
相馬の肩に手を置いて、
「っ……直樹さん」
震えるその声を聞き、僕は微笑んだ。
「沙耶は生きる。絶対に生かす。だから、そんな顔をするな」
ハッキリと、言ってやる。
もう、気にするのはやめだ。
手術がいるのなら、必ず、成功させる。
様子見なら、とことん、診てやる。
時間はあるのだから。
沙耶は、生かす。
生きたいと願い、泣いた少女を、このままになんてはしておけないから。
「……春馬兄さん、久しぶり。よく、帰ってきたね」
この部屋に駆け込んだと同時に視界に入ったのは、相馬たちの父親であり、逃げ出したはずの兄的存在だった春馬。
そんな彼は、とても痩せていて。
長年の苦労が、わかるほどだった。
そんな彼を責めようなんて思わず、僕はただ、微笑む。
『大丈夫だよ』……その言葉が、伝わるように。
「っ……沙耶さんを、助けて、やってくれ……!」
春馬の、絞り出す声。
「うん、任せて」
今なら、“使える”だろう。
拒まれることは、ないはずである。
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病室に駆け込むと、相馬が沙耶を抱き締めていた。
尋常ではないくらいに、震えていた。
今日は、5月8日。
相馬が生まれた日であり、
和子さんが自殺した日である、今日。
この世で、最愛なる沙耶を喪うことを、相馬は怯えている。
「相馬」
相馬の肩に手を置いて、
「っ……直樹さん」
震えるその声を聞き、僕は微笑んだ。
「沙耶は生きる。絶対に生かす。だから、そんな顔をするな」
ハッキリと、言ってやる。
もう、気にするのはやめだ。
手術がいるのなら、必ず、成功させる。
様子見なら、とことん、診てやる。
時間はあるのだから。
沙耶は、生かす。
生きたいと願い、泣いた少女を、このままになんてはしておけないから。
「……春馬兄さん、久しぶり。よく、帰ってきたね」
この部屋に駆け込んだと同時に視界に入ったのは、相馬たちの父親であり、逃げ出したはずの兄的存在だった春馬。
そんな彼は、とても痩せていて。
長年の苦労が、わかるほどだった。
そんな彼を責めようなんて思わず、僕はただ、微笑む。
『大丈夫だよ』……その言葉が、伝わるように。
「っ……沙耶さんを、助けて、やってくれ……!」
春馬の、絞り出す声。
「うん、任せて」
今なら、“使える”だろう。
拒まれることは、ないはずである。