【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「……相馬は、愛した人間までもを失うのか?」


と、問いてきた。


僕はそのことについて、首を横に振る。


「沙耶ちゃんは、死なないよ」


「……じゃあ、何で、目覚めない?何で、手当てをしてやらない?無理矢理、起こせないのか?」


「そんなことをしたら、体に負担がかかるからね。出産を終えた今、時間はたっぷりあるから……」


沙耶の出産の件については、心臓だった。


運動すると、必ず発作を起こしていた彼女は、成長と共にどれだけ暴れまわっても、発作を起こさないまでになった。


けど、だからといって、出産に必ず耐えられるというものではない。


今回は、仕方なしに病室で取り出したが(一応、産婦人科医としてやっていける資格は持っている)、出産に使う体力は、速足のウォーキングを休憩なしで約7時間するのと同じくらいの体力を使う。


心臓に影響がないか、と、問われれば、全面否定ができなかった。


だから、沙耶ちゃんの意思を聞き続けた。


まぁ、彼女の意思が変わることは、一度もなかったけれど。


産婦人科医をしているからこそ、僕は妻に感謝しているし、世の中の母親はすごいと思う。


沙耶ちゃんに与えていた、命の宣告は当時、沙耶ちゃんと似たような症状……呼吸不全を訴えて、死ぬ人たちがたくさんいた。


しかも、ほとんどが女性で、20歳未満。


だから、沙耶ちゃんにも一応、伝えておいた。


こういうわけで、こうなるから……と。


ちゃんと説明して、おいた。


……はずなのに。


(何がどうなって、20歳まで生きられるのが限界になったんだか……)


沙耶の症状の全般を見れば、確かに20歳が目安で死が訪れると言われたら、納得できるし、あり得ないことではない。


沙耶ちゃんが八歳の時に説明した宣告は、あながち、間違ってはいなかった。


実際に、この間……19歳で、沙耶は心臓が止まったわけだし……。


その原因は、明らかに、生来の心臓の弱さのせいではない。


ストレスによって起こる、過換気症候群のせいでもない


俺の目から見て、これは病気ではない。


呪いの一種であると考えていた。


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