【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
―大正15年、昭和元年―



「お生まれになられました!元気な男子でございます!」


明治から続く名門、藤島に一人の男の子が生まれた。


「よく、やったな……百合」


「あなた……」


妻―藤島百合を溺愛する夫―藤島真紀との間に、藤島紀一は生まれた。


「お父様、お母様」


「なあに?紀一」


優しい両親。


恵まれた環境。


すくすくと優秀な統治者へと成長していった紀一は、ある時、一人の女に溺れる。


「妃(きさき)……」


冴島妃。


美味しいと評判の小さな料理店の一人娘で、そこに食べに来ていた紀一と出逢い、妃は溺愛された。


愛されるだけの毎日。


ただ、幸せな日々。


紀一の両親も妃を受け入れ、この先もずっと、この幸せが続いていくのだと、誰もが信じて疑わなかった。


そして、結婚し……三年後。


一人の男児が生まれた。


それが、藤島雷紀。

< 695 / 759 >

この作品をシェア

pagetop