【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「あなた」


セイラは淑やかで、美しい娘で。


雷紀のことをよく理解し、友人でいてくれる優しい女だった。


そんなセイラとの間に、25のころ、子供が生まれた。


双子の女の子で……奇跡的に、一人は金色の髪に、青い瞳。


もう一人は、多喜子に似た容姿だった。


「不味い」


「ええ、わかっています。お義母様が、この子を殺さないはずがない」


すでに精神的に不安定であった美喜子。


彼女は、人を傷つけまくり、楽しんだ。


『多喜子』というおもちゃを失い、次は……。


「セイラ、私を許せ」


「はい。全ては、あなたの意思通りに」


生まれてきた双子……アイラとユイラのうち、多喜子に似た、ユイラを外へ逃がした。


殺されて、しまう、前に。


セイラとユイラは場所を転々としながら、逃げた。


雷紀はそれを追いながら、多喜子を守り、アイラを育てた。


セイラのような、立派な女になるように。


けど……


「セイラがっ!?」


セイラは、殺された。


雷紀はできる限り、美喜子の言うことに従っていたのに。


その時、多喜子は……


「許せない……」


初めて怒りを露にし、目覚めた。


猛烈な怒りが、彼女の心をよみがえらせた。


「お兄様!お義母様を殺しましょう!」


「っ……けど……」


「何で、お兄様が辛い思いをなさるのですか?私が、すべてをします。お義母様を殺します。お兄様には迷惑はかけませんから!!」


必死にそう訴える多喜子を、雷紀は無言で腕に閉じ込めた。


「そう、だよな……もう、従う必要はないよな……お前にそんな判断をさせるなんて……俺は……」


自身の判断をどうすればよいか、悩み……心がどんどん、荒んでいく。


セイラが死んだのは、アイラが3歳の時で。


そして、雷紀は動き出す。


美喜子が、何をしているのかすべてを洗いだし、藤島から消すために。


ユイラのあとは、追わせていた。


どうなったのか……探させていた。


聞けば、施設にいるという。


だから、その施設にアイラをやり、アイラの付き人にユイラの様子を調べさせ、定期的に報告させた。


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