【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


情報を集め、ただ、藤島美喜子という女を消すために動く。


そんな毎日。


今となっては、雷紀と多喜子は後悔している。


あのとき、セイラが殺されたときに、美喜子を殺しておけば良かったと。


11年前――


「はぁ!?」


雷紀は驚きのあまり、声をあげた。


「それが……朝陽さんが……っ!」


多喜子から、聞いた情報。


それは、俺に腰をあげさせた。


セイラが死んで、いや、殺されて、29年。


俺の会社に入ってきた黒橋健斗という男は、とても才能のある奴で……自分の側に仕わせ、アイラを嫁にとらせた。


その頃、アイラすらも利用しようと美喜子が企み始めたからだ。


だから、嫁がせた。


もちろん、護衛だった朝陽も共に。


健斗が何を考えていたか、知っていた。


アイラと朝陽が愛し合い、共に生きたがっていたことも知っていた。


でも、反対するしかなかった。


わざと悪役を演じ、美喜子の興味を逸らすしかなかった。


だから、二人を同時に引き取ってくれた健斗には、感謝していた。

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