【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


人生を朝陽と共にすることは、かまわない。


しかし、朝陽にはアイラを守り抜く力がなかった。


だから、健斗を使った。


彼ならば、自分にばれないように動くと、雷紀は踏んだからだった。


――とっくに、知っていたけど。


二人は子を成し、雷紀の目を欺くためなのか、戸籍は健斗の子としていたが、そこはどうでも良かった。


二人が、幸せになってくれているなら。


そして、そんなアイラを見ていたある日、ユイラが施設にいないという情報を聞いた。


それも、三年も前から。


まさか、と、思った。


足取りを追うと……一人の男に買われていた。


まるで、家畜のように。


それもすべて、美喜子の差し金で。


多喜子で足りなかったものを、美喜子はユイラに強いた。


すぐに助けなければと思っていた矢先、ユイラはその場を抜け出した。


そして、導かれるように健斗と出逢った。


健斗に溺愛され……さまざまな目に遭いながらも、幸せに暮らし始めた。


沙耶も生まれ、すべてが丸く収まったと思っていた矢先に、これか。


すでに、黒田は雷紀の手によって潰れていた。


でも、それは、後回しにすれば良かった。


そうすれば、朝陽は死ななかったのに。


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