【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……最後に、聞きたいことがあります」
こちらを戸惑いの目で見つめる、大兄ちゃんと心優。
「心優のお父様は、誰ですか……?」
藤島のセキュリティーよりも、見つけられなかったもの。
私の問いに、祖父は言った。
「……雅弘だ」
「雅弘?」
ビクリ、と、心優の肩が強ばった。
「朝陽を慕っていた、アイラのもう一人の護衛だよ」
「護衛…………それで、彼は?美喜子さんの犠牲に?」
「いや……死んではいないはずだ。情報は入っていないが…………死んでないよな?」
確認するように多喜子さんに問いかける祖父は、多喜子さんがうなずいたのを見て、安心したように息をついた。
「……生きてる。どこで、かは、わからないが……」
情報専門ではない、藤島。
流石に、そこまでは掴めないか……。
「アメリカですよ」
頭の中に浮かんでいた国を消去法で考えていると、横でさらりと相馬が言った。
「「……は?」」
祖父と孫。
声が揃ったとき、やっぱり、私は、この人の孫なんだと今更ながらにひどく、実感した。
距離を置いていると、感覚がわからなくなるものである。
いや、まぁ……お母さんですら、生まれたとき以来、この人に会っていないのだが。
即ち、私が会う機会があったはずがない。