【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……最後に、聞きたいことがあります」


こちらを戸惑いの目で見つめる、大兄ちゃんと心優。


「心優のお父様は、誰ですか……?」


藤島のセキュリティーよりも、見つけられなかったもの。


私の問いに、祖父は言った。


「……雅弘だ」


「雅弘?」


ビクリ、と、心優の肩が強ばった。


「朝陽を慕っていた、アイラのもう一人の護衛だよ」


「護衛…………それで、彼は?美喜子さんの犠牲に?」


「いや……死んではいないはずだ。情報は入っていないが…………死んでないよな?」


確認するように多喜子さんに問いかける祖父は、多喜子さんがうなずいたのを見て、安心したように息をついた。


「……生きてる。どこで、かは、わからないが……」


情報専門ではない、藤島。


流石に、そこまでは掴めないか……。


「アメリカですよ」


頭の中に浮かんでいた国を消去法で考えていると、横でさらりと相馬が言った。


「「……は?」」


祖父と孫。


声が揃ったとき、やっぱり、私は、この人の孫なんだと今更ながらにひどく、実感した。


距離を置いていると、感覚がわからなくなるものである。


いや、まぁ……お母さんですら、生まれたとき以来、この人に会っていないのだが。


即ち、私が会う機会があったはずがない。

< 706 / 759 >

この作品をシェア

pagetop