【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「……っ、アイラ!」


祖父が、そう叫んだ。


(……え?)


その声に私も思わず、顔をあげる。


「母さん!」「お母様!」


大兄ちゃんや心優の声も重なり、私は驚かざる得ない。


車イスに乗った、金髪で青い瞳の女性……アイラは、柔らかく微笑んで。


「ただいま、帰りました。お父様……」


鳥のさえずりのような美しい声で、そう言った。


そんなアイラの車イスを押すのは、


「お久し振りです。社長」


「……雅弘」


黒髪のスラッとした長身で。


父さんと変わらないくらいだから、恐らく、175くらい。


きちっと、スーツを着たその姿はどこかで見たことがあった人で。


「……写真の人?」


私が呟くと、彼は軽く会釈してきた。

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