【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「大きく、なられましたね。沙耶さま」


「……」


「昔、一度か二度、御逢いしたことがあるんです。幼かったし、朝陽さんもまだ、生きていたときなので……覚えていないかもしれませんが」


あったことは、覚えていない。


だが、彼は朝陽の持っていた写真で見たことがあった。


『朝陽ー、これ、だれー?』


『うわっ!俺の手帳……!!』


朝陽の鞄を勝手に漁って、見つけた手帳と呼ばれるものを開き、遊んでいた記憶がある。


(最近、よく思うけど……朝陽関連なら、めっちゃ記憶残ってるな。私)


それだけ、彼を慕っていたんだろう。


『これは、俺の大事な人だよ』


そう言って、見せてくれた写真の中にいた気がする。


五歳……事故のほんの少し前なので、記憶が薄いが。


『アイラが、いっぱーい!』


でも、朝陽の手帳にアイラの写真がたくさん入っていたのは、ハッキリと記憶している。


朝陽がめちゃくちゃ、慌てていたからだ。


< 709 / 759 >

この作品をシェア

pagetop