【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「大きく、なられましたね。沙耶さま」
「……」
「昔、一度か二度、御逢いしたことがあるんです。幼かったし、朝陽さんもまだ、生きていたときなので……覚えていないかもしれませんが」
あったことは、覚えていない。
だが、彼は朝陽の持っていた写真で見たことがあった。
『朝陽ー、これ、だれー?』
『うわっ!俺の手帳……!!』
朝陽の鞄を勝手に漁って、見つけた手帳と呼ばれるものを開き、遊んでいた記憶がある。
(最近、よく思うけど……朝陽関連なら、めっちゃ記憶残ってるな。私)
それだけ、彼を慕っていたんだろう。
『これは、俺の大事な人だよ』
そう言って、見せてくれた写真の中にいた気がする。
五歳……事故のほんの少し前なので、記憶が薄いが。
『アイラが、いっぱーい!』
でも、朝陽の手帳にアイラの写真がたくさん入っていたのは、ハッキリと記憶している。
朝陽がめちゃくちゃ、慌てていたからだ。