【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「ふふっ……」


懐かしい記憶が微笑ましくて、思わず、笑う。


「どうした?」


不思議そうな相馬。


「ちょっとね……朝陽の大事な人でしょう?」


相馬に軽く微笑み、雅弘さんに手を差し出す。


「……生きていてくれて、ありがとう」


多くの人が死んだ。


美喜子さんのせいで。


そんな美喜子さんを壊し、狂わせたのは、愛だった。


「……いいえ、こちらこそ……」


アイラは、生きていた。


雅弘さんに、守られて。


握手を交わし合うと、雅弘さんはアイラの傍につく。


「―お母様。体調は、大丈夫なのですか?」


すると、今まで黙っていた、心優が駆け寄って。


「ええ、平気よ。心配かけて、ごめんなさいね……」


アイラは、そんな心優の頭を撫でた。


14歳の子供の強がり。


意外と、心優も頑固かもしれない。


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