【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
時が経ったということは、即ち。
大兄ちゃんも年を取ったわけで。
「……大丈夫だ。俺は……沙耶や勇真がいてくれたから。それに、心春も……」
泣くアイラの頬に手を滑らせ、大樹は顔を歪めた。
「……朝陽に、似たのね」
滑り落ちるように、離れたその手。
彼の顔が悲しみに歪んだのを、私は見逃さなかった。
アイラはしんみりとそう言い、大樹を見つめる。
親子の再会なんだから、もっと、情熱的なものがあってもいいと思うのだが、この二人にはないらしい。
まぁ、最後に別れてから15年近くたっているし、何より、大兄ちゃんはもう、三十路だ。
もともと奥手で、穏やかな大兄ちゃんは、アイラを優しい目で見つめるばかりで、名にも言わなかった。
なんだか、もったいない気がしたけれど……これも、ひとつの愛であるのだろう。