【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「別に、今、生きてるからいーじゃん」


死んでるのなら、文句言っても良いけどさ。


「死んでからじゃ、遅いだろが!」


「……ごもっとも」


私がバカすぎるのか、こいつが心配性過ぎるのか……。


はぁ、と、ため息をつくと、秀が笑った。


「仲が良いのですね」


「そうかな?いつも、こんな感じで怒られてるけど」


「いつもなら、少しぐらい話を聞いてやってはいかがです?沙耶のことを心配しているのでしょ?」


「うぅ……でも、心配されるのは、慣れてないし……」


「心配されるのは、愛されている証拠でしょ?
そんなことを言ったら、本当の愛は手に入れられない。ある小説家も言ってます。

『愛とは苦しみを通して他人と結びつくこと。美しいもの、魅力あるもの心ひかれることは容易い。たとえそれが魅力を失い、色あせたとしてしても守り通すことが大切なのだ』と。

相馬さんの与える愛は未来のあなたを支え、
沙耶のその優しさは未来の彼を支える。

そして、それをお互い死ぬまで貫き通せたら、
それは真実の愛になると、僕は思う」


「……」


「入籍した日に、喧嘩しちゃダメじゃん」


小さな彼は、大きな怪物。


いつか、呑み込むと分かった。


長い前髪の下に潜む瞳は、何よりも恐ろしいものな予感がした。


思わず、後ずさると、相馬とぶつかる。


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