偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
光一さんの勉強を邪魔しないように、私も読書に集中することにした。
話題のミステリーは読みやすく、あまり厚みがないこともあって、あっという間に
読み終えてしまった。
この図書館は地下におしゃれなカフェが併設されている。本当は休憩がてらそこでお茶をしたかったけれど、隣の光一さんがあまりにも熱心に本を読みこんでいるのでそれは我慢した。
私は二冊目の本に手を伸ばす。二冊目は海外作家のコージーミステリー。この手の軽く
読めるミステリーは私の好みにドンピシャなのだけど……翻訳家があまり好みに合わず、
なかなか作品世界に入りこめなかった。
「仮眠禁止って目の前に張り紙されてたのに、よくあそこまで堂々と寝れるもんだな」
光一さんがくっ、くっと肩で笑いながら言った。
「寝るつもりはなかったの。でも日差しがあったかくて、ついウトウトと……」
「ま、おかげでこっちは勉強がはかどったよ」
光一さんの嫌みに、私は返す言葉もない。
「昼飯は? なに食べたい? 俺は……」
「イタリアン!」
「和食かなぁ」
私たちは同時に言って、ぷっと噴き出した。
「おもしろいくらい、気が合わないな」
「ほんとに……」
「いいや。ランチは華に譲る。隣の駅にうまいパスタがあるから、そこにしようか」
「いいの?」
「そのかわり、午後の映画は俺の好きなのでいい? ちょうど見たかったやつがあるんだ」
「え~なに、なに?」
私は光一さんの回答を待った。実は私も見たかった映画があるのだ。アカデミー賞の候補作に
なっているミュージカル映画だ。もし同じだったら、少し嬉しい。
でも、もし違う映画を提案されても……私もそれを見たかったと答えようと思っていた。
話題のミステリーは読みやすく、あまり厚みがないこともあって、あっという間に
読み終えてしまった。
この図書館は地下におしゃれなカフェが併設されている。本当は休憩がてらそこでお茶をしたかったけれど、隣の光一さんがあまりにも熱心に本を読みこんでいるのでそれは我慢した。
私は二冊目の本に手を伸ばす。二冊目は海外作家のコージーミステリー。この手の軽く
読めるミステリーは私の好みにドンピシャなのだけど……翻訳家があまり好みに合わず、
なかなか作品世界に入りこめなかった。
「仮眠禁止って目の前に張り紙されてたのに、よくあそこまで堂々と寝れるもんだな」
光一さんがくっ、くっと肩で笑いながら言った。
「寝るつもりはなかったの。でも日差しがあったかくて、ついウトウトと……」
「ま、おかげでこっちは勉強がはかどったよ」
光一さんの嫌みに、私は返す言葉もない。
「昼飯は? なに食べたい? 俺は……」
「イタリアン!」
「和食かなぁ」
私たちは同時に言って、ぷっと噴き出した。
「おもしろいくらい、気が合わないな」
「ほんとに……」
「いいや。ランチは華に譲る。隣の駅にうまいパスタがあるから、そこにしようか」
「いいの?」
「そのかわり、午後の映画は俺の好きなのでいい? ちょうど見たかったやつがあるんだ」
「え~なに、なに?」
私は光一さんの回答を待った。実は私も見たかった映画があるのだ。アカデミー賞の候補作に
なっているミュージカル映画だ。もし同じだったら、少し嬉しい。
でも、もし違う映画を提案されても……私もそれを見たかったと答えようと思っていた。