偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
「よし、今日はジャネット監督の新作ね! 熟睡しちゃうかもしれないけど、許してね」
私が笑顔で言うと、光一さんも笑ってくれた。
「いびきは勘弁してくれよ」

二時間弱の上映を終えて、光のさしこむ出口へと向かう人の流れに乗って私たちも外へ出た。
「どうだった?」
私は光一さんに聞く。
「華は?」
私たちは同時に答える。
「すっげーくだらないけど、面白かった」
「すっごい好き。大爆笑だった」

光一さんの見たかったジャネット監督の新作は、公開直後だったせいか満席だった。
私の希望のミュージカル映画は空席があったけど、私はあえて別の映画を見ようと提案
してみた。
ふたりで選んだのは、あまり話題にもなっていないコメディ映画だった。
館内は空席が目立つし、外れだったかなと思っていたけれど、始まったら一気に
ストーリーにひきこまれた。
とにかく明るくて、笑えて、ラストは温かい気持ちになれる素敵な映画だった。

「コメディってあんまり見ないけど、たまにはいいね」
「俺もあえては選ばないけど、よかったな。同じ監督のほかのも見てみたいな」
「じゃあ、レンタルで借りてみようか?」
「そうだな。マイナーな監督だけど、あるかな」
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