偽装新婚~イジワル御曹司の偏愛からは逃げられない~
あら、あらら。思ってたよりいい感じじゃない? 付き合ってた頃よりずっと、仲良しカップルっぽい感じ!光一さんも楽しそうにしている気がするし。
私はすっかり上機嫌だった。最寄り駅からマンションまでの道のりもひとりではしゃいで、しゃべり続けていた。
光一さんがやけにスマホを気にしているのも、相槌が上の空になってきていることにも、全然気がついていなかった。
それどころか、今夜はもしかしたら一緒のベッドで眠ることになるかも……このところ就寝時に愛用していたスゥエット上下はこっそり隠して、クローゼットの奥から可愛いパジャマをひっぱり出してこないと!なんて、無用な心配までしているありさまだった。
そんな浮かれまくった私の頭を冷やすきっかけになったのは、光一さんのスマホから発せられる無機質な着信音だった。
「ごめん」と私に一言断ってから、彼は応答ボタンを押した。
「はい。……なにか?」
相手の声はもちろん聞こえないけれど、応じる光一さんの声がやけにかたいことは気にかかった。
光一さんは何気ない仕草で、私に背を向ける。それでも会話の一部は聞こえてくる。
「そう……。いや、気にしなくていいよ。わかった」
私はすっかり上機嫌だった。最寄り駅からマンションまでの道のりもひとりではしゃいで、しゃべり続けていた。
光一さんがやけにスマホを気にしているのも、相槌が上の空になってきていることにも、全然気がついていなかった。
それどころか、今夜はもしかしたら一緒のベッドで眠ることになるかも……このところ就寝時に愛用していたスゥエット上下はこっそり隠して、クローゼットの奥から可愛いパジャマをひっぱり出してこないと!なんて、無用な心配までしているありさまだった。
そんな浮かれまくった私の頭を冷やすきっかけになったのは、光一さんのスマホから発せられる無機質な着信音だった。
「ごめん」と私に一言断ってから、彼は応答ボタンを押した。
「はい。……なにか?」
相手の声はもちろん聞こえないけれど、応じる光一さんの声がやけにかたいことは気にかかった。
光一さんは何気ない仕草で、私に背を向ける。それでも会話の一部は聞こえてくる。
「そう……。いや、気にしなくていいよ。わかった」