恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「それじゃあ、行きましょう」
歩き出した私の後ろに、みんながついてくる。
こんなにも君を想ってくれる人たちがいるって事、今から伝えに行きます。だから──。
──待ってて下さいね、景臣先輩。
学校を出てすぐに、私達は小町先生の車に乗りこんだ。
今頃授業は始まっているだろうから、戻ったら当然お叱りを受ける事は間違いない。
けれど私達は誰ひとりとして、この選択を悔いてはいないと思う。
授業より大切な事が、私達にはあるからだ。
そして先生の運転する車で、景臣先輩の通学路である駅までの道のりを走る。
しかし、景臣先輩の姿はどこにも見当たらない。
「景臣先輩、どこにいるの……?」
私は助手席に座り、窓に張り付いて景臣先輩の姿を探す。
すると、隣から「ごめんなさい」と小町先生が謝ってきた。
「なんで先生が謝るんですか?」
「それは……景臣くんが職員室に挨拶に来た時、私は他の場所にいたの。だから、何が何でも職員室にいればよかったなって……」
小町先生は、運転しながら申し訳なさそうに言う。
けれど、先生だって仕事があるだろう。自分の意思で自由に動けないこともあるはずだ。
だから、小町先生が自分を責める必要なんてない。