恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「なんか、今にも泣きそうな顔してる」

「あ……」


言われた途端、ポロリと頬を伝って落ちていく温かい何か。


雅臣先輩は私の顔を見て目を見張ると、静かに、柔らかい眼差しで私を見つめた。


「俺は、清奈のすべてを受け入れる」

「え……?」

「だから、話せとも言わないし、泣くなとも言わない」


雅臣先輩に言われて初めて、目尻から零れたのが涙なのだと気づく。


人前でなんて、泣きたくなかった。


でも……雅臣先輩の前だと、どうしてか自然に泣ける。


「俺は清奈の居場所だからな」


──あぁ、そうか。


この人は、無条件に私を受け入れてくれるからだ。


まるで、血を分けた家族のように。


弱くて、わがままで、子供のように何も出来ない空っぽな私を、ありのまま受け入れてくれる居場所だからだ。


「っ……雅臣先輩、私……自由になりたい」


自然と、心にたまっていた泥を吐き出すかのようにそう言った。

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