恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「この世で出来ないことは、たったひとつ。壊れた器を治すことだけだ」

「う、器……?」


それって、なんのこと?

比喩がぶっ飛びすぎて、全然理解できない。

小首を傾げる私に、雅臣先輩は自分の心臓のあたりをトントンと拳で軽く叩いてみせる。


「俺たちの魂が入っている、この体のことだ」

「あぁ、体……」


体を器って言い方するところも、雅臣先輩は変わってる。

それにしても、体が壊れるって……。


「病気とか……ですか?」

「そう、あとは……」


長い、長い間が続いた。

実際は数秒だったと思うけれど、私には永遠にも近い時間に思えた。


「……事故、とかな」


今の間はなんだったのか。
聞こうと思っても聞けなかったのは、雅臣先輩の表情が陰ったからだ。

本能で触れてはいけない、そう思った。

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