恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「期待に応えなきゃいけない、出来るわけない」
「え……?」
「決めつけてるから清奈は飛べないんだ、自由の空に」
決めつけてるから、飛べない……?
それって、自分の翼をもいでるって話の答えだ。
そっか、そういう意味だったんだ。
決めつけて、最初から飛ぶことをあきらめてしまう。そんな私のことを雅臣先輩は言ってるのだ。
「清奈はいつだって自由になりたいと願いながら、自由を遠ざけてる。変わる勇気さえあれば、いつだって自分が望むモノになれるのに」
自由を遠ざけているのは……私。
そうかもしれない、と思った。
思うままに生きたいと思いながら、口つくのは諦めの言葉ばかり。
雅臣先輩の言う通り、変わる勇気があったらよかったのだけれど、それを持つことこそが難しい。
「そう簡単に、生き方を変えるなんて……できないです」
「難しいことだとは思う、でも踏み出さなければずっとその場で足踏みしているだけだ」
雅臣先輩は、否定しなかった。
けれど、彼の諦めないでほしいという想いがヒシヒシと伝わってくる。
どこまでも優しい先輩に胸がいっぱいになって何も言えずにいると、雅臣先輩は自嘲的に笑って「本当は自分に言ってやりたいよ」と言った。