恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「どうして……ですか? 雅臣先輩は和歌っていう好きなモノに向かって、真っすぐに生きてるじゃないですか」


雅臣先輩は私と違って自分を持ってるし、誰かに誇れる情熱を持っているのに、どうしてそんな顔をするのだろう。

私は無邪気に好きなことへ向き合える先輩が好きだ。なのに、今の雅臣先輩からはその輝きを感じられない。


「はは……清奈の目に藤原雅臣という男は、そういう真っすぐな人間に映るのか」


まるで自分を蔑むような言い方に、私の胸はズキリと痛む。


──この胸の痛みの正体は、なに……?
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