恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「雅臣先輩、どうしたんですか?」

「どうしたって……?」

「だって……今は雅臣先輩の方が悲しい顔をしてます」

「そんな顔してるか? 気のせいだよ」


そう言って、「はははっ」と誤魔化すように笑う。

雅臣先輩は、こんなふうに笑う人だっただろうか。

一体何を誤魔化そうとしているのか、私にはわからない。

ううん、少なくとも中学生の頃、一緒に過ごした1年間では見たことのない表情だった。

君はもっと明るくて、真っすぐで、陽だまりのように笑う人だったはず。


けれど今は……まるで闇に浮き彫りになった月のよう。

優しい光には変わりないのに、ふとした瞬間に闇にかき消えてしまいそうで怖くなる。

この2年間の間に、雅臣先輩に何があったんだろう。

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