恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「ともかく」


雅臣先輩は、そんな私の思考をぶった切るように話を切り替えた。


「したいことは難しく考える前に、行動に移すこと」

「はぁ」

それが出来たら苦労しないよ、と私は気のない返事をする。


「あれこれ悩む癖をなくすためにもな」

「……でも、癖って簡単に治らないから、癖っていうんですよ?」


私は雅臣先輩の言う通りにはできないと思う。

だって、物心ついた時から親の言いなりになって生きてきた。いつも期待に応える方法だけを考えて、選択してきたから、自分のしたいこと自体を自覚できない。


「だから、今度からは感情のままに行動する癖をつければいい」

「か、感情のままに……ですか」


そんな、無茶苦茶な。

私は自由になりたいと言いながら、期待を裏切って見放されるのが怖いのに、荒療治もいいところだ。

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