恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「有名な医学部のある大学に入って、就職は母親のいる大学病院で働く……。私の意思なんて、そこにはないんです……」
息苦しかったんだ、毎日が。
日々を重ねていくごとに、どんどん未来が見えなくなって、望んでいるモノがなんなのかがわからない。
──あぁ、私はいったい何者なんだろう。
──何者になりたいんだろう。
何度も何度もそんな問いを繰り返しては、見つからない答え。
そんな毎日を過ごすうちに、私はなんて空っぽな人間だろうと思った。
身も心もすり減って、私は望むことを諦め、在田先輩は自分の人生を蔑んでいる。
方向は違えど、私たちは似ていた。
「在田先輩と違って、私には将来があるのに幸せじゃないんです」
「…………」
「それってたぶん、私が心からなりたいモノじゃないからなんですよね」
「心からなりたいモノ……」
私の言葉を繰り返す在田先輩に、うなづいてみせる。
私も偉そうなことは言えないけれど、本当に好きなモノを語るとき、人はキラキラと輝く気がするんだ。
そう、古典を語る時の雅臣先輩みたいに。
だから気づかされた。誰かに決められたレールの上には、私の望むモノはないんだってこと。