恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「期待に応えなきゃいけない、出来るわけない」

「どういう意味だ?」


私はある人に言われた言葉を繰り返して、自然と口元に笑みを浮かべる。

そんな私を在田先輩は訝しむように見た。


「雅臣先輩に言われたんです。そう決めつけてるから、世界はこんなに広いのに、私たちは狭い視野でしか世界を見られない、自由になれないんだって」


そう、自由になりたいと願いながら、自由を遠ざけてる。

それって雅臣先輩の言うとおり、すごくもったいないことなのかもしれない。


思い出すのは、古典を語る生き生きとした雅臣先輩の姿。それから、彼を通して和歌を好きになった時の私の想い。

決められたレールの外には、想像もできないような新しい人生があるんじゃないか。

私が雅臣先輩に出会って、和歌を好きになったように……。

彼と出会って、一緒にいて、私はそう気づけたんだ。

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