恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「ねぇ、物部さんってさ」
……物部さん?
彼女とさほど仲良いわけではないが、隣人の名前が出るとなんとなく気になる。
私と同じようにクラスでも静かで、地味な彼女の名前がなぜ出てくるのかと不思議に思いながら、そっと階段を降りていく。
「いつも、スマホいじってるよね」
段々と声が近くなり、踊り場に物部さんとその周りを囲むように立つ女子が3名ほど見えた。
明らかに張り詰めた空気、肌に刺さるような威圧感、いきなり修羅場に足を踏み入れたような緊張感が私を襲う。
これってまさか……リアル呼び出し?
私は一昨日在田先輩に呼び出された時のことを想い出して、ゴクリと唾を飲み込む。
ざわつく胸を深呼吸で落ち着けて、また一歩階段を降りた。
「見た目は大人しいのにさ、こんなのやってたんだー」
人をおちょくるような口調に、聞いている私の気分も悪くなる。
「あっ、やめて……!」
物部さんの叫びと、私が踊り場に足をつくのは同時だった。
地面にバンッと何かがぶつかった音が聞こえてすぐに、私の足元にスマホが滑ってくる。
それを無意識に拾うと、画面が自然に目に入った。