恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。
「俺は……否定したきゃすればって感じだな。そこまでして、クラスの連中とつるみたいとは思えねぇ」
「業吉先輩は強いんですね」
私はどうだろう。
ひとりでも大丈夫みたいに振る舞いながら、こうして雅臣先輩や業吉先輩といられることをこれから先も望んでる。
強がっているだけで、本当はひとりでなんて生きられないのかもしれない。
「どうせ、他人を理解するなんて出来ねぇんだ。自分のことは自分にしかわからないんだから、人の目なんか気にせずにやりたいことすりゃあいい」
「なにそれ、そんな寂しいこと言わないで下さいよ」
理解されなくていいだなんて……私たちに対しても、そう思ってるってこと?
私はここにいるふたりにだけは、理解されたいと思うのに。
だってふたりは、私の居場所そのものだから。
「清奈、俺はクラスの連中とはって言ったろ。雅臣先輩とお前は別だし」
「業吉先輩……!」
私は嬉しさに思わず声を張って、業吉先輩の名前を呼んでしまった。
やけにテンションの高い私を見て、業吉先輩はぶっと吹き出す。
「お前、意外と騒がしいんだな」
「え、そうですか?」
「初対面の時は、冷めた顔してたし」
「それは……」
あたりまえだ。
この場所以外にいる私は、本当の私じゃないから。
人の顔には面と裏があり、それだけでなく多くの仮面を被ってる。
学校での私、家での私、恋人の前での私。場面で使い分けているのだ。
時々、どれが本当の自分なのかわからなくなる時があるけれど、ふたりの前にいる私は等身大の私だとわかる。