イジワル部長と仮りそめ恋人契約
映画が終わり、テレビの画面にはエンドロールが流れる。

そのタイミングで、悠悟さんがうーんと伸びをした。



「何度か観てるんだけど、つい毎回真剣に観ちゃうんだよなぁ、これ」

「わかります。おもしろいですよねー」



彼の言葉に、私は笑いながら返す。

ちなみにDVDを観ている間のポジションは、私がソファーの上、彼はソファーに背中を預けるようにしてラグに座っていた。

この後、続けて他の映画を観ることもないだろう。手を伸ばしてテーブルのリモコンを取り、テレビの電源ごと消してしまう。

肩が凝ったのか、悠悟さんはぐるぐると肩を回していた。



「あー、もう9時か。こっから家帰るの面倒くせぇな」



壁掛け時計を見つめ、うんざりした様子で言う。

悠悟さんって、『面倒くせぇ』が口癖なんだろうか。ついまた笑ってしまいながら、私は深く考えずに何気なく“それ”を口にした。



「あはは。じゃあ、泊まっていきます?」

「は?」



ぐりんと、勢いよく悠悟さんがこちらを振り向いた。

驚いたように目をみはって、私のことを凝視している。彼のその反応を見て、ようやく自分の失言に気がついた。

……『泊まっていきます?』なんて。そんなの、本当の恋人同士じゃない私たちが使っちゃいけないやつ……!



「あ……」



とっさに弁解の言葉が出ずに、目を泳がせる。

悠悟さんは、そんな私のことをじっと見つめているようだった。そして不意に、立ち上がる。
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