糖度高めな秘密の密会はいかが?
ロータリーに車を停めて、荷物を降ろしてからフロントでチェックインをした。

とても眺めの良い部屋で旅行サイトの口コミ通りに海が一望出来る、地中海風のスイートルーム。

客室には露天風呂もあり、お風呂には大きすぎるテレビも壁にかけられていた。

その横には海を一望出来る為の二つのチェアーとサイドテーブル。

天井から透かしの綺麗な布が下がっているテレビでしか見た事がない、お姫様風の広くて大きなベッド。

「見てみて、海が綺麗だよ。夜になったら星も見えるかな?」

荷物を置いて直ぐにテラスに出て、海を眺める。

「海まで歩いて5分くらいだって。行ってみる?それとも、露天風呂入る?」

「海に行く!」

「そんなに即答しなくてもいいのに…。まぁ、いっけど。夜は長いしね!」

「カメラと…袋と…」

「全然聞いてないし!」

本当は聞こえてるけれど、聞こえてないフリをした。

有澄の言葉に迂闊に返事したら、つい流されて海を見に行けなくなりそうだから無視が一番。

「ゆかり、バッグ持って行かなくてもいいんじゃないの?」

「カメラとかスマホとか…」

「カメラだけでいいよ。俺もスマホ置いて行くから、ゆかりとの時間を邪魔されたくないし…」

「うん…」

私はスマホの入ったバッグをソファーに置いて、有澄もテーブルにスマホを置いた。

部屋の鍵を持ち、フロントに預けてから、海岸通りの歩道を歩く。

ホテルの外に出ると、有澄が手を差し伸べてくれるので、躊躇わずに手を絡める。

もう何度も手を繋いで歩いているのに、社会人になったからか、気恥しいな。

潮の匂いが香り、波の音がする。
< 133 / 216 >

この作品をシェア

pagetop