糖度高めな秘密の密会はいかが?
有澄は一通り謝って、寄りかかっていた私を後ろから抱きしめた。

首筋にチュッと唇が触れる。

「…赤ちゃん、ゆかりに似て可愛い女の子がいいな。男の子だったら、外で沢山遊んであげるんだ」

「分かんないよ、まだ。遅れてるだけかもしれないし…」

「うん、でも、子供がいる未来も想像したら楽しそうだよね」

不安はないのか、目の前の状況を受け入れてくれようとしている有澄に私の心は救われた。

万が一、拒否された時の事を考えたら怖くてどうしようもなかったけれど、有澄が一緒なら結果が陽性だとしても乗り越えられそう。

「子供出来ました、結婚させて下さいって御両親に言ったら殴られるかな?」と有澄が心配しながら言うので、「逆に結婚してくれてありがとうって言うんじゃない?お見合いと孫まごうるさかったし」と言って二人で笑った。

この場所が"副社長室"だという事も忘れて、まるで自宅でくつろいでいるかの様に過ごしてしまった事は反省すべきところだけれど・・・。

笑った後に、有澄は

「…ゆかりが傷つくなら、このまま帰ってもいいし、ほとぼりが冷めるまで休んでもいいんだよ」

と言ってくれたけれど私は・・・。

「さっき、同じ台詞を誰かさんから聞いた気がする。私には有澄がいてくれるから、頑張れるよ」

職場でも日下部さんに同じ様な台詞を言われた。

そうだよ、迷っている暇はないんだ。

「迷惑かけてもいいって言ってくれたから、正々堂々戦うの。逃げたら思う壷だって言ったのは有澄でしょう?それに逃げても、モヤモヤして仕事も手につかないもん…」

「…そっか」

「…ねぇ、有澄。もう戻るから、ぎゅっとしてくれる?」

「うん…」

私は向きを変えて、有澄の胸に顔を埋める様にしてギュッと抱きしめる。
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