糖度高めな秘密の密会はいかが?
泣き腫らした目が重たくて悲鳴をあげているのに、瞼を閉じるとまた涙が出そうになる。

本当は色々と怖い。

入社して初めての嫌がらせ。

人生初の身体の変化。

「…色々、ありがと。私、前にも言ったけど、デザインの仕事、大好きなの。簡単に諦めるなんてしないよ。

だから…戦って来るね。もう逃げない」

多岐川さんとも戦う、検査が陽性だったとしても受け止める。

赤ちゃんが産まれて、この職場に復帰出来ないとしても自分の思いを貫く場所はきっとあると思うから・・・。

「有澄、ありがと。よしっ、行って来ます!」

そう言って立ち上がろうとしても、有澄が離してくれない。

「…っん、」

口角を上げられて唇が重なる。

唇が離れると、人差し指を立てて「相良には内緒ね!」と言ってから再び、重なる。

有澄の側を離れるのは名残り惜しいけれど、長い時間、職場を離れてしまったので戻らなきゃ。

そう言えば、有澄に抱き抱えられる様に職場を出たんだった・・・。

何とも恥ずかしいし・・・かなり気まづいなぁ。

「一緒に行こうか?」

「……大丈夫、一人で行ける。有澄、本当にありがと!」

職場に戻る決心をして、副社長室を後にした。

エレベーターが到着すると、降りてきたのは相良さんだった。

「相良さん、お疲れ様です。御迷惑おかけしてしまい、申し訳ありません」

すかさずお詫びを述べ、深々と頭を下げる。

「いえ、頭を上げてください。副社長の指示となれば業務ですからご心配なさらず。それより…」

「…はい」

「これは副社長の"知り合い"として聞きたいのですが…。花野井はいつもあんなにベタベタしてくるんですか?」

何を言われるのか、副社長室に長居してしまったからお説教かな?と思い内心ドキドキしていたが、拍子抜けした質問で思わず笑みがこぼれる。
< 153 / 216 >

この作品をシェア

pagetop