糖度高めな秘密の密会はいかが?
自惚れてるのかもしれない、もしかしたら勘違いしてるのかもしれないけれど・・・私に好意を持ってくれているのなら、日下部さんが傷つかないように1つ1つ言葉を選びながら話さないといけない。

日下部さんの事は嫌いじゃない、同期として、上司としては好き。

けれども、"恋"じゃなかった。

「有澄と初めて出かけたのは、日下部さんがカフェに来てビールを飲んでた日です。それから会う回数が増えて付き合う様になりました。

お店で話をする度に可愛い男の子だなって思っていたので、一目惚れだったんだと思います。とても紳士的で私にとっては王子様なんですよ」

あの日、カフェに来た日下部さんは機嫌が悪そうだった。

まだ有澄と出かけるとは知らなかったハズだけれど・・・。

あの時、本当は何しに来たんだろう?

「…馴れ初めは聞いてない」

「……うぅぅぅ。そんな事言ったって」

「プレゼンもそれだけ上手く出来たら最高なんだけど…」

少し位はこっちを向いて話してくれても良いのにタブレットを操作したまま、絶対に見ようとしない。

もしかしたら、もしかしなくても、きっと───!!

「…もしかしてゲームしてます?」

日下部さんはだんまりを決め込んだので、正解だろう。

私はデスクに戻って、指示書作りの続きをする事にした。

一先ず、指示書が終わったら帰るっ!

「…あの日、連れ去っちゃえば良かったなって後悔してる。独り言だけど」

カチャカチャとキーボードを叩く音に紛れて聞こえて来た言葉は、私には返答出来るはずもなく聞き流してしまった。

"独り言"なんだから良いよね、だって何て返したら良いのか分からないもの。
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