糖度高めな秘密の密会はいかが?
その後はまた気まづい雰囲気になり、お互いに口を開かなかった。

何を話したら良いのか、分からなくなった。

窓の外を眺めていると高層ビルが増えてきて、会社に近付いて来ているのが分かる。

もうそろそろ、お別れ。

「起きろっ!」

「……もう着きました?」

見渡すと駐車場に着いていて、いつの間にか会社に戻って来た様だった。

話が弾まなくてスマホ見ているフリをして、有澄と綾美に『もうすぐ戻るね』ってメッセージを送って・・・その後は記憶がない。

「もうすぐ着くのに寝るなんて、信じられない奴だな!」

「あぁっ、ケーキ忘れてました!」

帰りにケーキ食べさせてくれるって言ってたのに・・・寝てしまった。

「起こしたのに起きないから勝手に選んだ。俺が許すから有澄と一緒に食べて来て」

小さなケーキの箱を目の前に差し出され、車から降ろされた。

日下部さんは会社付近のパティスリーでケーキを購入してくれていたらしい。

良く分からないけれど、「30分だけ行って来て」と言われてコソコソしながら副社長室に向かう。

エレベーターを降りて、通路で誰にも会いませんように・・・!と恐る恐る副社長室の前まで来ると、表札が来客中にはなっていないのでドアをノックする。

部屋の中から「どうぞ」と聞こえたので、ゆっくりと扉を開けると、有澄はデスクワーク中だった。

「さっき帰って来て、ケーキは日下部さんからお土産です。一緒に食べよ。相良さんは居ないの?」

「…おかえり。ありがと。相良は秘書室に居る」

日下部さんから受け取ったケーキの箱を応接テーブルにそっと置く。

デスクワークしていて集中しているのか、ご機嫌斜めなのか、ぶっきらぼうな答え方の有澄。
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