糖度高めな秘密の密会はいかが?
花野井グループの御曹司のお嫁さんに行くのが怖いと言ったら、綾美が私に暴言を吐いた。

ご褒美にカフェに行く位で、高級品も欲しいと思った事がなくて、こじんまりした生活が好きだったからどうして良いのか分からないんだもん。

「いつもの楽観主義はどこ行ったの?いつもなら、"私頑張るね"とか、"次頑張ればいっか"とか適当な事を言ってるのに…この後に及んで、飛び込んで行かないとは!

王子はゆかりの事を一番に考えてるのに可哀想だよ。とりあえず、いつもの調子で飛び込んでみればいいじゃん!駄目だったらまた考える。それでいいよ」

綾美に怒られてしまった。

行動力が半端ない綾美が最近悩んでいた事はバイヤーになるか否かの事で、以前も彼氏と別れても深追いせずに次を探していた。

高橋さんは特別で、今までで一番に好きになった人だから真剣に悩んでいたんだと思う。

私も綾美の様に後押しして欲しかっただけなのかもしれない。

段々と大丈夫な気がしてきた。

「日下部さんが諦められないから早く結婚しちゃえーって、こないだ嘆いてたよ」

「余計な事を言うな」

「日下部さんの分も幸せにならなきゃね、ゆかり」

"こないだ"とは、有澄の実家でいただいたステーキ肉と白身魚を焼いて、家飲みした時の事だと思われる。

私も日下部さん本人に言われたけれど・・・。

綾美にまで嘆いていたとは、本当に好きになってくれてたんだと思い知る。

「…日下部さんって、本当に諦め悪いですね。そう言えば、お見合いはするんですか?」

「断った。寄って来る女は沢山いるから、俺からわざわざ行く必要がない」

「うわぁーっ、性格悪っ」

聞けば、都市銀の令嬢とお見合いの話が出ていたらしいのだが、断ったらしい。

日下部さんと綾美の話を聞きながら、笑う。

綾美に勇気づけてもらい、残りのお昼時間で副社長室に向かった。
< 215 / 216 >

この作品をシェア

pagetop