俺がずっと守るから




「これより先、私の右腕として勤めてさせていただきます。────椎名です」



……え?


一瞬、時間が止まった。




「ど、ういうこと…?」


混乱する私をよそに、兄様の挨拶で頭を下げる李樹。




そして驚くのはこれだけでは済まなくて。




「尚、この者は、私の妹である皆月彩葉の婚約者であることを、合わせてこの場でご報告させていただきます」



兄様の口から、信じられない言葉が発せられた。




ワッと更に湧く会場内。


それはステージに向けられた拍手だけではなくて、私自身にも、私の存在を知ってる会場内の人の視線と祝福の言葉が向けられていた。


それがまるで他人事のようで。




そこから先のことは、よく覚えていない。


気付けば発表は終わっていて、立食パーティーが開始されていた。




< 173 / 193 >

この作品をシェア

pagetop