私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
突然の言葉に私は固まってしまった。



「なん、で?」



「見てれば分かるよ。・・・・・志帆の片思い?」



あっ、そうなんだ。




これならもう、弘人に言ってもいいよね。



「・・・・・・うん。そうだよ。ずっと、大樹のことが好き。でも、・・・・・・大樹は恋のことが好き。恋の気持ちは分からないけど。・・・・・・・大樹に応援してって言われたの。だから、私なりに大樹が恋と近づくようにしてるんだけど。・・・・・・・・でも、その度に胸が苦しくなる。好きな人が自分以外の誰かとくっつくのを応援するなんて。・・・・・・・・でも、大樹が好きだから邪魔しちゃいけないって思うの。だから、自分の気持ちも言えない。」



言いながら、さっきまで止まっていた涙が流れた。



次々に溢れ出る涙を、弘人は優しく掬ってくれる。




こういう困っている時に誰かが寄り添ってくれることなんてなかったから、あったかい気持ちになって、涙が止まらなかった。




私が泣いている間も弘人はただ黙って聞いてくれていた。



何も言わずにいてくれた事が嬉しい。



「今日もずっと気にしないようにって思ってたけど、・・・・・・さっきの見たらちょっと動揺して、・・・・・・やっぱり応援するの、キツイなーって。恋は親友なのに、たまに・・・・・・・羨ましいって、醜い気持ちが出てきちゃうの。そんなふうに思う自分がどんどん嫌いになって。・・・・・好きな人に好きな人がいるのって、すっごく苦しい。」



「・・・・・・・・そっか。話してくれてありがとう。」




「ううん。こっちこそ、聞いてくれてありがとう。ちょっとスッキリした。」



「でもさ、志帆は無理しすぎだよ。普通のことだから、苦しくなるの。」




「え?」



弘人が私の隣に来て優しく話す。



「友達だろうが、親友だろうが、好きな人を取られそうになってるなら誰でもそういう気持ちになるよ。」



「・・・・・・弘人にもそういうことあったの?」




「まぁーねー。一応、恋してましたから。」



ドヤ顔で言う弘人に私は笑ってしまった。



「・・・・・・・やっと笑った。」




「え?」



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