紳士的?その言葉、似合いません!
我慢することに慣れてしまった彼女が些細なことでも強請るようになったことが堪らなく嬉しい。前に付き合っていたあいつとは違うと実感できるという薄暗い理由もあるのが自分でも粘着質で苦笑してしまいますが。
自分に望んで、頼っているという事実に満たされると同時にもっと縋るほどに求めてほしい。彼女の持つ弱さと脆さを私にだけを見せて、独占してしまいたい。
「凛華さんの方から誘われるとは、貴女に触れるのが楽しみになりますねぇ」
でも、ただ今は、多くは求めずに望んでくれたことを噛み締めよう。彼女が腕の中に落ちてくるまでも待つことは苦ではなかったのだからこれから先だって待つことは苦ではない。むしろ楽しみだ。
クスクスと笑みをこぼしながら隣にいる愛おしい存在を抱きしめる。腕の中から逃げようとパタパタと動くが本気で逃げようとしているわけではなく照れ隠しだろう。
「ち、違っ、誘ってるとかそんなんじゃなくてっ」
「大丈夫ですよ。これでも高給取りですから凛華さんが望むなら2人でも3人でもそれ以上でも養えます」
「そんなの心配してないから!?」
顔を真っ赤にさせて何かを言う前に彼女の唇を自分のそれで塞ぐ。これしかできない状況が少し恨めしいですがこれはこれでくるものがありますねぇ。
思わずそう言えば更に頰を染めた彼女に「変態っ!」と涙目で睨まれた。
「私がそうなるのは凛華さんだけですよ」
「〜〜〜誰よ?!こんなの紳士的とか言ってる人!!詐欺でしょ!?変態でしょ!?似合わないでしょ!!?」
「ふふ、褒め言葉でしかありませんねぇ」
褒めてない!と騒ぐ彼女に笑顔を浮かべながら柔らかな肌に頬擦りする。その耳元で私の気持ちを囁けば華奢な体が一瞬震えた。
お腹の子どもに負担がかからないように抱きしめる力を強くする。彼女は赤く染まった頰のまま悔しそうな顔をしてそっぽを向いた。
fin


