・キミ以外欲しくない

思っていることを読まれた様で、分が悪い。
しかも「業務命令」と言われてしまったら、断りようがないじゃないか。

確かに、決めかねているプラン等をイメージだけで決めるより、実際の物を間近で見れて体験出来ることは、私にとっては好都合なわけで。
そのために一度くらいは高級ホテルに泊まり、上流階級体験をしてみないと。と思っていたのも事実だし。
この部屋は、それを叶えている。
ううん、それ以上に。
本来、知りたいと思っていた生活スタイルみたいなものを体験できる場所なのだ。


「……本当に、お世話になってもいいんですか?」

「あぁ」

「でも、私がこちらにお世話になっている間に、もし誰かに知られたら。お困りになるのは副社長では」

「誰かって?」

「……お付き合いされている方。とか」

「ふっ、ふはははっ。切羽詰まっているのに、俺の身辺の心配か?」

「だって、寝込みを襲うことは無いってことは、恋人がいるから……」

「そんな相手が居たら、最初から君に部屋を貸すなんて言うわけがない。恋人がいながら、異性を部屋に呼ぶとか。それ以前に、部屋に住まわせるような男など、君だって嫌だろ?」

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