最後の恋 【番外編: 礼央目線】
俺の中では本当にバカにして笑ったわけではなかった。


むしろ何かフォローをと思ったのに、後からジワジワとその失敗の可愛さがツボに入ってきてしまった。


誤解をされたままは嫌だから、最後にもう一度謝ってから俺は図書室を後にした。


その時は気づいていなかったけど、後になって紫乃も同じ5組だったと思い出した。


そして、そのまた後日二人が友達だと気づく事になる。


その週末は、部活で疲れていて紫乃とは会わなかった。


だけど、借りてきた小説は毎日寝る前に読んでいた。


映画以上に深いところまで掘り下げられていて、夢中で読んでいたから全く苦にならなかった。


映像がないぶん、自分の想像力が駆り立てられる。


とても広大で自由で、不思議で魅力的な世界だった。


あまりに夢中になりすぎて予定より随分早く読み終わってしまった。


早めに返して次の作品を借りることもできる。


だけど俺はそうはしなかった。
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