最後の恋 【番外編: 礼央目線】
今頃、あの彼女はカウンター後ろにある司書室でお弁当を食べているのだろうか。


カウンターを通り過ぎながら、前回と同じ作者の本が並ぶ棚にまっすぐに向かった。


ここからは、カウンターは見えない。


今日借りる本をそこから1冊選ぶと、閲覧コーナーに向かいカウンターのよく見える位置に座って本を広げた。


そろそろ、昼休みも後半に入る。


その時、司書室から彼女が出てきた。


俺の存在にはもちろん気づいていない。


カウンターに座るバレー部の松井君だったと思うが、後ろから彼の肩をトントンと軽く叩いた。


振り返った松井君に、彼女が笑顔で何かを話している。


小声だから声までは聞こえなかったが、きっと交代の時間だと伝えに来たのだろう。


二人は場所を入れ替わるように、彼女がカウンターに座り松井君は司書室に入って行った。
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