最後の恋 【番外編: 礼央目線】
「返却です。」

「貸し出しお願いします。」

「返却と貸し出しで。」


さっきから誰かと彼女のやりとりが、割と頻繁に聞こえてくる。


他の曜日はよく知らないが、金曜昼休みの図書室利用者はかなり多いと思った。


特に男子生徒の利用者が目立った。


カウンターの彼女は忙しそうに手と口を動かしながら、作業をしていた。


先週のような失敗をする事もなく、彼女は笑顔でみんなに対応しているように見えた。


ひと段落したのか、彼女はパソコンに向き合い作業をしていた。


さっきから、幾度となくカウンターの様子を伺っていた俺は、その間読み進めたはずのページのほとんどが全く頭の中に入っていなかった。


何か視線を感じて本から顔を上げると、カウンターの彼女と目が合った。
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