最後の恋 【番外編: 礼央目線】
その声だけを聞いて、どんな女子だろうと気になったのは初めてだった。


俺がさっき図書室に入って来た時、カウンターにいたのは同じ1年の男子だったから、その声の女子も同じ1年だろう。


バレー部所属の彼の事はクラスが違っても見覚えがあった。


図書室に幾つも並ぶ、本棚の奥、窓際に目当ての小説を見つけた。


ぎゅうぎゅうに詰まったその列から、その小説を1冊取り出し中を少しだけめくってみた。


紙をめくるその音を聞いて、自分が文学少年にでもなったかのような気になって少しだけ可笑しかった。


パタンとその本を閉じ、取り出した場所に目を向けるとそこには同じ作者の他の小説がズラリと並んでいた。


中には、シリーズものもあった。


それを見てなんとなく、新しい楽しみを見つけた気がした。


窓の外に自然と目を向けると、爽やかな青空が広がり遠くの空に鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいるのが見えた。


初めて来たこの場所が、俺にとってとても居心地が良く落ち着ける場所だという事を初めて知った。
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