最後の恋 【番外編: 礼央目線】
とりあえず今日目当ての1冊だけを持ち貸し出しカウンターへと向かった。


カウンターには先客がいたので、その男子生徒の後ろに静かに並んだ。


そして今度は先ほどよりも近くからその声を聞いた。


綺麗な澄んだ声…とでも言うのだろうか。


姿…は俺の前にいる男子の体格があまりに良すぎたこともあり、スッポリと隠れて何も見えなかった。


いよいよ、俺の番だ…。


カウンターの中で座って作業をしていたその声の主でもある女子生徒は、かなり低い位置から俺を見上げた。


そしてそのまま数秒の間、口だけを開けたまま何も言わなかった。


ん…??と思いながらも、俺は自分のクラスと名前を伝えた。


「…1年1組、一ノ瀬 礼央です」


その女子生徒はハッとした表情になると、慌てて視線を俺の手元へと移し当番の仕事をこなし始めた。
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