最後の恋 【番外編: 礼央目線】
なぜだろう。


彼女のことになると、全く余裕がなかった。相手がタケル君だったからかもしれない。


彼は誰よりも杏奈のことを分かっている。


やっぱり彼には勝てない気がした………。


「ストーカー被害にあってんだよ。」

「ストーカー?」

「ああ。俺もたまたま知ったんだ。仕事で東京に来たから、今日は杏奈と飲んでた。その後、タクシーで家まで送った時、杏奈の様子がおかしくなったからもう一度タクシーに乗せて問いただしたら、3ヶ月ほど前から誰かの視線をずっと感じてたって言うから、今夜はここに泊まらせる事にしたんだ。」

「そんなに前から…。そんな話、一言も…。」

「ごめんなさい…。被害って言っても感じてたのは視線だけだったし、それに私の気のせいかもしれないと思ってたから…」


それでも、やっぱり言ってほしかった…そう思うのは俺の勝手な思いなのだろうか。
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