小悪魔なキミに恋しちゃいました。


思い出にフケていたら、中庭から窓越しに須藤さんと宮野さんが他校の男につけられている姿を目撃した。



「……行かないと」



僕の直感がそう言った。



あんなにキミに会うことを避けていたのに。



今行かないと、きっと後悔する。



僕のせいで、図書室に須藤さんが閉じ込められた時、すぐ助けに行けなかったときのように。



早くキミのところに……



校内に入ってすぐ、「玲央くん!」と誰かにバレてしまったけれど、今はそれどころじゃない。



確か姿を見つけたのは3階。



階段を一気に駆け上がる。



そこにふたりはいた。



……と言っても、囲われていて姿は見えない。



けれど、



「結城くん……」



確かにキミが僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。



あの輪の中から。



こんな騒がしい中で、キミの声を見つけられるなんて、僕は相当重症だ。



別れを告げてから今までだって、キミのことを見なかった日はない。



毎日、毎日。



キミがまた居眠りしてるな、とか。



今日の小テストは、出来が悪かったんだとか。



また注意されてるだとか。



学校祭の準備期間も、なんだかいい案を出したようで盛り上がっていた。



キミのことを相当バカにしてきたけど、僕もかなりバカだと思う。


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