全ての記憶を《写真》に込めて

「彩月ちゃん着替えたら出てきてよ〜」
「う、うん!」

アリスの服に着替える。
試着はしたけどそれもサイズを合わせるだけで、ちゃんと着たのは初めてかもしれない。

「〜っ、スカート短い」

足がスースーする。
靴下は長いからいいんだけど。

茉莉ちゃんとかもっとスタイルのいい子がやればいいと思うんだけどなぁ。
でもまぁ、最後までやりきるけどね。


「……えっと……どうかな?」




みんな話さない。
えっと、沈黙は、辛い。



「えっとね、似合わないのはわかってるからね!」

「彩月ちゃんってさ、結構胸があ、痛っ!」
「翔」
「…すみません」
痛そう。
思いっきり足蹴られていた。

やっぱりもっと可愛い子が着るべきだよ。

「ほら、晴からなんかねぇの?」

そして、翔くんが晴くんを前に押し出す。

「えっと、どう、かな?」
二回も聞くなんて恥ずかしいってもんじゃない。
羞恥心できっと顔が真っ赤だろう。

「別に……、似合ってんじゃない」

「ほ、本当に?」

「嘘ついてどうすんの」

は、恥ずかしい反面、凄く嬉しい。

「ありがとう!晴くんもかっこいいよ!」

白うさぎをイメージしたのか。
時計を首にかけ、カフェの時とはまた違う私と衣装の色に似た燕尾服のようなものを身に纏い、うさぎの耳がついた小さな帽子。

「ばっ、!そういうの大声ていうもんじゃないよねぇ!」

「晴、照れちゃって、かーわい、痛いって!蹴るな蹴るな!」



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