全ての記憶を《写真》に込めて
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家に帰り、風呂に入ったあと、ふと気になったからあいつに電話してみる。
どうせ、まだ起きているだろうからねぇ。
案の定、そいつはすぐ出た。
「じゃあ、俺そろそろねるか、」
『あ、あのっ!』
切ろうとしたら呼び止められる。
「何?」
『あ、えっと…………』
_______________もうちょっと、晴くんと話したいな………。
だんだん弱々しい声になる。
沈黙が続いた。
きっと、そいつはそれを拒否として受け取ったのだろう。
『あ、迷惑だよね!ごめんね、』
「いいよ、別に」
『え、』
「ほら、話すんでしょ どうせ、まだ寝る時間じゃないしさ」
『え、でもさっき寝るって…、』
「言ってないけどぉ!…………話さないなら切るよぉ」
『は、話す!』
我ながら下手な誤魔化し方だ。
そう、ただそいつが無理しないように、話してやるだけ。
俺が話したいわけじゃない、なんて自分に言い聞かせる。
『え、えっと……何話そう…………』
電話越しでも慌てたような様子が伝わる。
「ほら、何かないのぉ?」
『え、あ、えっと………あっ!晴くんと翔くんっていつから友達なの?幼なじみ、とか?』
翔、か……。
いつ会ったっけ?
「小学校のいつかにあった気がするけど、ハッキリとは覚えてない」
『そうなの?すごく仲いいのに』
「別に仲良くないけど 翔が勝手についてくるだけだしねぇ」
『そうなんだ』
その後一時間くらい話した。
文化祭のこととか、クラスメイトのこととか。
まぁ、楽しかったといえば楽しかった。
だけど、なんかあいつと話しているといらないことまで話してしまいそうだ。
それだけ、人に心を開かせるのが上手いってことみたいだねぇ。
「じゃあね、おやすみ しっかり寝なよぉ」
『うん、おやすみなさい』
そして、通話を切る。
「早く、犯人を見つけてあげないとねぇ」
何故か、そんな使命感が芽生えた。